小説読本の中で三島由紀夫は「小説家はな…
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小説読本の中で三島由紀夫は「小説家はなりたくてなれるものではない」と書いている。なりたい人が目標にする第167回芥川賞の発表があった。
「小説家になるのが夢だったが、芥川賞を取れるとは思っていなかった」と、「おいしいごはんが食べられますように」で受賞した高瀬隼子さん。
受賞作は毎回、月刊誌に掲載されるので最近の受賞作は読んでいるが、当方の感性が古いのか、どこがいいのかさっぱり分からず、審査員の講評で「そう読むのか」と教えられることが多々。
第1回からの歴代受賞作家一覧表を見ても、有名作家になった人もいれば、1作だけで後が続かない人も目立つ。小説家になれたとしても、それで生活するのはより難しい。
もっとも、いわゆる純文学の話である。直木賞作家はベストセラー作家が多いし、ケータイ小説、ネット小説などライトな作品の市場は広がっている。
「バルザックは毎日十八時間小説を書いた」「この努力の必要な事に於(お)いては芸術家も実業家も政治家も変わりない」「なまけものはどこに行っても駄目」。三島の金言だ。(栄)