10日、投開票された参院選は多くの人々…
10日、投開票された参院選は多くの人々の記憶に残る特別な選挙となった。終盤戦、奈良市の近鉄大和西大寺駅前で演説中の安倍晋三元首相が、殺害される悲劇が起こった。
暴力による言論封殺は許されない暴挙だ。しかし、残念ながら、過去には政治家に対するテロは繰り返され、政治がゆがめられてきた。
1921(大正10)年には、「平民宰相」と呼ばれた原敬首相が東京駅で暗殺。32(昭和7)年の「五・一五事件」、36(同11)年の「二・二六事件」と軍部による要人暗殺が相次いだ。
こうしたテロにより政党政治が衰退。軍部が台頭し、日本は戦争に突き進んだ。安倍氏の事件を同列にはできないかもしれないが、暴力による政治の干渉を許してはならない。
今回の参院選で改憲勢力3分の2議席維持が確実な情勢となった。今後、改憲議論が活発化していくことが予想される。
その意味でも今回の参院選は、将来振り返ったときに歴史の転換点と評価される特別な選挙になるかもしれない。安倍氏の事件に影響されることなく、過去の歴史の教訓を生かした冷静な議論が必要だ。(法)