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金曜時評

参院選投票率向上 6年後を託す一票 - 論説委員 松井 重宏

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 第26回参議院議員通常選挙の投開票があさって10日に迫った。既に3日の時点で奈良県内有権者の8%を超える約9万2000人が期日前投票を済ませており、出足は順調に見えるが、前回選挙で5割を切る49・53%まで低下した投票率は回復するのか。6候補による激戦もいよいよ最終盤。あと一押し有権者のさらなる関心の高まりが期待される。

 

 任期4年、解散もあり、時勢に敏感で国民の声を反映しやすいとされる衆議院に対し、任期6年で解散制度がない参議院には「良識の府」としての役割、独自性が求められており、有権者の側も衆院選とは異なる判断基準を意識して一票を託す先を選ぶとともに、その後の活動を監視していく姿勢が必要になる。

 

 奈良新聞社が県内有権者を対象に実施した世論調査では、主な争点として物価対策を挙げる県民が過半数に達した。ただ足元の施策だけでなく、憲法改正や安全保障など中長期的な課題にも関心が寄せられており、任期6年を見据えた選択が問われる。

 

 一方、投票先を決める際に重視する基準を聞いた質問では、人柄や活動実績など候補者の人物を問う意見より、所属政党や党の政策を優先する有権者が増加。党の意思決定に沿って衆議院と同じ審議を繰り返す「カーボンコピー」状態からどう抜け出し、二院制の意義を示すかは、選挙後の各党、各当選者の課題となる。

 

 総務省がまとめた全国データによると平成に入って以降、国政選挙の投票率は衆参とも60歳代が最も高く、世代が若くなるに連れて順に低下、20歳代が最も低いという状態が定着している。特に20歳代の投票率は98年選挙以降、一貫して30%台に低迷。全世代平均との間には20ポイント以上も開きがあり、重点的な啓発が必要。

 

 政権交代など、すぐに結果が出る衆院選とは違い、参院選は有権者の関心をひきにくいが、代わりに未来に向けた「先行投資」の側面を持つ。20歳代の有権者ら次代を担う若い世代が6年後の社会、そして自分たちのために、いま政治を考え、一票を行使することの大切さを訴えたい。

 

 そうした中、10歳代はこれまで計4回の国政選挙で20歳代を上回る数字を残してきた。衆院選は直近の21年選挙でも20歳代より約7ポイント高い43・21%を維持。ただ参院選は初参加の16年選挙で46・78%あった投票率が19年選挙では32・28%に下落。高校生対象の選挙教育充実も急務だ。

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