まさに聖徳太子の霊験というべきか。法隆…
まさに聖徳太子の霊験というべきか。法隆寺がコロナ禍での収入減を補うために行ったクラウドファンディング(CF)が1日足らずで目標額の2000万円を超えた。
世界遺産の法隆寺だが、広大な境内の維持管理や文化財の保存修理などに多額の費用を要する。寺の収入基盤はもろく、1400年の歴史の中でたびたび財政難に陥ってきた。
寺では歴史上、仏像を出張させて寄付を募る「出開帳」を何度も実施。権力者たちだけでなく、名も無き市井の人々が勧進に応じてきた。
こうした歴史は法隆寺に限ったことではない。南都をはじめ多く寺院は、人々の浄財によって支えられてきた。
今回のCFの結果も、人々の寺や太子に対する思いの結集だといえる。CFはデジタル時代の現代における新しい勧進の形として注目される。
しかし、2019年度には65万人だった法隆寺の参拝者は20年度が約20万人、昨年度も約35万人に低迷。今回のCFだけで収入減を補えるわけもない。歴史ある寺と文化財を後世に残していくために、地域全体で考える必要があるだろう。(法)