「今は青春の真っただ中です」。83歳の堀江謙一さんがヨットによる単独無寄港の太平洋横断に成功した。50代のわが身を30年後にタイムスリップさせたなら、ヨットの帆を張ることさえ難しそうだ。

　「わたりたいから、わたった」と23歳で逆コースの偉業を成し遂げてから約60年。風だけを頼りに約8500キロを渡りきった。

　高齢の冒険家には、80歳でエベレストに登頂した三浦雄一郎さんもいる。共通するのは夢や思いを形にする情熱と行動力だろう。航海を終えた堀江さんは「生涯チャレンジャーでいきたい」と語った。

　政治の世界では先日初来日したアメリカのバイデン大統領が今年の誕生日で80歳を迎える。わが奈良県の荒井正吾知事は77歳。来春の知事選は「白紙」とするが、政治への意欲は衰えない。

　同じく来春任期満了となる奈良県議の平均年齢は全国で最も高い64歳3カ月といい、世代交代も進みそうだが、大切なのは中身だろう。

　有権者の期待を背負って目指したものを諦めたり見失ったりしていないか、4年ごとの選挙は自身にそれを問い掛ける機会でもある。(増)