きょう2日は新茶摘みの適期とされる八十…
きょう2日は新茶摘みの適期とされる八十八夜。立春からの日数というが、なぜ夜なのかと不思議に思いつつ、童謡を口ずさんだ昔を懐かしむ。
よく訪れたのは奈良市街地の外れ、佐保山の麓にあった県農事試験場茶業分場。生家から近く、盆地を一望する見晴らしの良い茶畑だった。
同分場は昭和30年代に奈良市矢田原町へ移転。現在は大和茶研究センターとして研究開発や農家支援を進めており、平安時代に始まったとされる大和高原の茶づくりを支えている。
茶の原産地は亜熱帯と聞くが、高品質の葉を育てるには昼夜の寒暖差が大きく、芽がじっくりと育つ冷涼な高原地域が適しているのだそう。
大敵は遅霜。寒さに弱い新芽が霜に遭えば深刻な被害が出る。童謡で八十八夜のことを、夏も近づくと歌うのは、霜の危機を無事に越え収穫期を迎えた安心感を表現しているのか。
ただ奈良地方気象台は今朝も霜注意報を発令。まだ気の抜けない状況が続く。県内の荒茶生産量は19年の統計によると約1700トンで全国7位。のどかな茶摘み風景の中ある農家の努力に敬意を表したい。(松)