電車に乗って外出する時、祖父はいつもパ…
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電車に乗って外出する時、祖父はいつもパリッとした身なりをしていた。どうしてかと母が尋ねると、「年寄りが座ると、嫌がって隣に子どもを座らせない親がいるから、服装はきれいに」。
これはちょっぴり祖父の被害妄想もあるだろう。ただ、高齢者に対する世間の目を敏感に感じていたのかもしれない。
30年前に祖父は亡くなったが、今なら少数派の気兼ねや遠慮はなかったに違いない。総務省の人口推計(平成3年10月1日現在)によると、65歳以上の全体に占める割合は28・9%と過去最高。
本県は32・15%と全国平均を上回る。3割以上が老年なわけだが、筆者の住む町は実に約4割。高齢者は今や多数派になりつつある。
少子高齢化対策の必要性を痛感する。少子化対策は若い世代のライフスタイルの変化もあり、一朝一夕には効果が上がらないだろう。一方、医療の進歩で高齢化はまだまだ進む。
15歳以上64歳以下を生産年齢と呼ぶが、65歳以上の意欲的な人を活用できる社会にしなければ。老年突入を目前に「身も心もパリッと」と自分自身を鼓舞している。(栄)