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国原譜

桜は週末まで見られそうだと思いながら車…

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 桜は週末まで見られそうだと思いながら車を走らせていたら、カーラジオから「明日ありと思う心のあだ桜夜半(よわ)に嵐の吹かぬものかは」と流れてきて、何やら諭されたような気持ちになった。

 

 仏門に入ろうと京都の青蓮院を訪ねた9歳の親鸞上人が、「夜も遅いから」と得度を翌日に延ばそうとする師の慈円に詠んだとされ、日々精いっぱい生きる大切さを説いて今も使われる。

 

 ラジオは心に響く言葉のようなコーナーだったが、車窓の桜が親鸞聖人の一首と絶妙なタイミングでシンクロした。

 

 桜が咲くのを待っていたように雨が続いたり、花冷えで震えながらお花見したりと、人の営みと天候がうまく合わない年も多い。今年は月末から月初にかけて安定した天気とは言えないようだが、どうだろう。

 

 親鸞聖人が生まれたのは平安時代の末期だが、当時も桜を愛でる人がいて、夜半の嵐がないことを願いながら春を過ごしていたに違いない。

 

 それから約850年。桜は咲いては散ってまた咲いてを年の数だけ繰り返してきた。今年もその1ページ。風雨順時のありがたさを思う。 (増)

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