先日、北日本を中心に降った大雪は、「二…
先日、北日本を中心に降った大雪は、「二つ玉低気圧」によってもたらされた。日本列島をはさむように二つの低気圧が日本海と太平洋を進む。
大荒れの天気となることが知られ、山では遭難事故を招いてきた。恐ろしいのは二つの低気圧の間で一時的に天気が回復する疑似晴天で、緩んだ風雪に誘われた多くの登山者が命を落とした。
昭和38年1月に北アルプス薬師岳で起きた愛知大学山岳部の大量遭難も疑似晴天が一因とされ、山小屋から山頂を目指した13人全員が帰らぬ人となった。
ゴールデンウイークの北アルプス白馬岳で中高年6人が凍死した平成24年の遭難事故では、朝から広がった青空が猛吹雪に激変、典型的な疑似晴天とされる。
新型コロナウイルスは国内で最初の感染者が確認されて15日で2年となった。この間、感染拡大と低減を繰り返し、年末までの落ち着きも、疑似小康状態だったことを突きつけられた。
本当の晴れ間はいつなのか、誰もが不安を募らせる第6波である。大切なのは、つかの間の青空に誘われぬこと。基本に立ち返り、生活を見つめ直したい。(増)