通勤途中、駅前でベビーカーを押す、お父さんらしき男性を見掛けた。急いでいる様子で、どこか駅周辺の施設に預けてからの出勤なのだろうと推察した。

　ふと前の方に目をやると、幼児の手にスマホがあった。「またか」の思いで見送った。あんな小さい子に…、しかも動くベビーカーの中で小さな画面を見つめさせて…。朝から暗い気分にさせられた。

　姿勢が悪くならないか、視力に影響は出ないか?　心配性のくせが出て、あれこれ空想してしまった。

　以前も、電車内で同じ光景に出くわした。幼児が車内で、ぐずったり泣いたりしないように、気をそらせるために、としか思えなかった。若い母親はといえば、別のスマホ画面に見入って、ベビーカーのわが子のことは、なおざりだった。

　ガラケーしか持たないおじさんにとっては、電車の乗客の8割以上がスマホ画面を凝視している風景は異様で、自分が別世界にいる感じがする。スマホに支配されている、といえば言い過ぎか。

　車内で見るスマホは「しゃーない」が、階段でとなると危険極まりない。歩きながらは絶対やめてほしい。(恵)