最近、友人から町内で空き巣被害が多発し…
最近、友人から町内で空き巣被害が多発していると聞き、老母が怖がっている。盗まれるような価値のあるものはないけれど、予防のまじないを一つ教えてやりたい。
出入り口にはられる「逆さ札」である。天下の大泥棒、石川五右衛門の命日(誕生日説もある)とされる「十二月十二日」と書いた札を、上下逆に取り付ける関西独特の風習だ。
なぜ、札を逆さにはるかというと、天井裏などから頭を下にして忍び込んだ泥棒が読めるように。五右衛門の命日を知らし、泥棒を戒めるためとか。
五右衛門が処刑された京都や大阪、奈良などの庶民の間で風習は広まった。効き目は1年間で、毎年12月12日に更新しなければならないが近年、逆さ札は県内ではなかなかお目にかからなくなっている。
葛城市当麻の市相撲館けはや座では、逆さ札がテレビ番組で取り上げられるなど隠れた名物になっているという。同館の前担当者の発案だそうだ。
揮ごうを続けている前担当者は「地域の風習や文化を大切にしたい」と話す。逆さ札を見て即座に恐れる空き巣は、かなりの知識人かもしれない。(栄)