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国原譜

奈良新聞入社間もないころ、雑誌や本を本…

 奈良新聞入社間もないころ、雑誌や本を本社まで配達してもらっている社員が少なくないのに驚いた。当時、本は書店で買うものとばかり思っていたからだ。

 豊住書店の「出前」だった。開業は1867年の老舗として奈良市内で知名度は抜群。特に歴史、文化関係の品ぞろえに定評があり、新聞社に固定客が多かったから配達してくれていたのだろう。

 そんな重要文化財級の名物書店が10月末で営業を終えるという。高齢の経営者夫婦が今年、相次いで亡くなり、しばらく店を切り盛りした息子さんが閉店を決意した。

 閉店を惜しむ常連客の声が数多い。もっとも、経営者が存命でも来春には店を閉める予定だったらしい。残念だが時代の流れを痛感する。

 電車に乗ると、乗客はスマホを操作している人か居眠している人ばかりだ。本好きの知人は「ここ数年、本はネット販売でしか買ってない」と。

 漫画週刊誌の発売日に駆け込んだ駅前の本屋、部活の帰りにコロッケを買い食いした肉屋、チャリン、チャリンと鈴を鳴らして原付で近所を巡回販売してくれた豆腐屋。今は懐かしい。(栄)

 

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