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国原譜

明日香村の甘樫丘は、東側の麓で見つかっ…

 明日香村の甘樫丘は、東側の麓で見つかった建物跡や日本書紀の記述から、蘇我蝦夷、入鹿父子の邸宅があった場所と考えられている。

 645年の「乙巳(いっし)の変」で息子の入鹿は中大兄皇子らによって暗殺され、翌日、蝦夷は自邸で命を絶った。眺望の良い甘樫丘は、軍事的にも一等地だったろう。

 現在は国営飛鳥歴史公園として管理され、明日香村を代表する観光スポットだが、かつてこの丘陵を住宅地にする話があった。

 第5代村長だった杉平正治さん(故人)は「保存運動がなければそっくり住宅地になった可能性がある」とかつて本紙に語っていた。

 歴史的風土の保存と住民生活の向上を両立させる―。相反するように見える課題に出口を見いだしたのが昭和55年に施行された明日香法だった。村は今年、40周年記念誌を発行、制定当時の人々の思いも知ってほしいと願う。

 文化資源を巡る国の方針は凍結的保存から創造的活用に変わり、明日香村でも遺跡の整備が進むだろう。それでも、明日香法に守られた歴史的風土と飛鳥古京を愛する人々の気持ちは変わらない。 (増)

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