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国原譜

奈良は雅楽の玉手箱のようなところである…

 奈良は雅楽の玉手箱のようなところである―。6月に93歳で亡くなられた南都楽所名誉楽頭の笠置侃一さんは、監修した書籍「雅楽の奈良を歩く」(包刊)の中でそう書いている。

 雅楽は5世紀ごろ、仏教とともに大陸から伝来し、奈良の地で発展。明治維新の神仏分離などの危機を乗り越え、今も絶えることなく受け継がれてきた。

 笠置さんは平安時代から続く伝統の雅楽団、南都楽所の復興のため各地で演奏を続けてきた。しかし、人に聞かせるためだけの演奏は嫌がったという。

 なぜなら、本来、雅楽をはじめ伝統芸能は神仏に捧げるものだからだ。笠置さんは生涯、その事に強い思いを持ち続けてきた。

 玉手箱とは、秘密にして容易に人に明かさない品を納める箱。雅楽は本来、人には秘すべき神仏への捧げ物であり、私たちは“おすそわけ”で見聞きさせてもらっているのに過ぎない。

 笠置さんは、雅楽本来の姿を守り伝える「春日若宮おん祭り」での奉納を特に大切にされてきた。今年のおん祭りは笠置さんの思いをしのびながら、管絃の調べや舞楽を楽しみたい。(法)

 

 

 

 

 

 

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