3日正午前、共同通信社から菅義偉首相の総裁選不出馬の一報が飛び込んできた。編集部内は騒然としたが、「やっぱりか」と不思議に驚きは感じなかった。

　昨年9月に誕生した菅政権は当初、高い支持率を維持。しかし、長男の勤務する会社の総務省幹部接待問題をはじめ数々の逆風が吹き始めた。

　新型コロナウイルス対策でも場当たり的な対応が目立ち、「後手」との批判を浴びて支持率は低下。東京五輪も回復につながらず、党内の求心力も落ちた。

　幹事長交代など党人事で一発逆転を狙ったが、現状では無理があった。案の定、人選に行き詰まったようだ。

　政治家には自らの政策などを説明し発信する力が求められる。が、記者の質問にまともに答えず、まったくかみ合わない記者会見を見ていると、菅首相の発信力には疑問を感じざるを得ない。

　事実上、次期首相を決める同党の総裁選には、県選出の衆院議員高市早苗氏らが出馬の意向を示している。選挙情勢はまだ不透明だが、国民に分かりやすく自らの考えを伝え、理解を得ることができるリーダーを望みたい。(法)