金曜時評

なお先を目指して - 編集委員 松岡 智

 新型コロナウイルスは教育現場にも大きな影響を及ぼし、対面授業が困難な状況を生んだ。その一方で、国のGIGAスクール構想の一部が前倒し。昨年来、児童生徒への1人1台の端末整備が促進され、情報通信技術(ICT)の活用も広がりを見せる。

 同構想は、端末と高速通信ネットワークの一体整備で、おのおのの児童生徒に合った多様な教育の実現を図る事業。県内では、県教育委員会と市町村教委が協調した取り組みが進む。昨年度には推進協議会を立ち上げ、端末の早期整備やオンライン学習に応じた教員のリモートでの研修を促進。同一端末の共同導入、同じシステムツールの運用などは児童生徒、教員とも県内での転校、異動による順応ロスの解消につながっている。

 また地域差はあるものの、習熟度向上にとどまらず端末を使った学習が学校、自宅で継続され、必要に応じてオンラインで学級活動を行うなど端末に日常的に触れる機会がつくられている。4月の緊急事態宣言に伴いオンライン学習が実施された大阪での環境整備、運用での混乱ぶりからすると、県は半歩先を歩んでいると言える。

 オンラインなど端末利用の学習の目的を疫病流行、災害といった緊急時の方法とするなら、県の現況は十分及第点だろう。だがGIGAスクール構想でのゴールは、理解度の差や学校に行きにくいなど、個々の児童生徒の状態に適した学びの提供にある。端末ごしの学習という方法には、まだ異論もあるかもしれない。とはいえ対面を基本としつつも、デジタル社会が進行する中でオンラインや端末を使った学習が多様な学びを保障する有効なツールの一つであることは否めないのではないか。

 デジタル教科書の導入と相まってモニター画面の注視しすぎによる視力低下や、配布端末のランニングコストなどの懸念も聞こえ始めた。ICTを活用した学習の定着、一層の深化には、まだ大小さまざまな課題を越える必要がある。保護者ら周囲への理解、協力をさらに促進し、どの児童生徒も取りこぼさない運用も不可欠だ。

 コロナ禍のさなかの約1年前、オンライン学習をはじめ複数の学習手段の確保のための取り組みは、緊急事態を脱した後も止めるべきではないと提言した。県内の現況は順調に見えるが、今をベースに、各校種の教材のオンデマンド化などを含めICTを利活用した奈良モデルと称されるような教育の確立をなお求めたい。

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