「何度電話かけてもつながらない」。年配の女性が切羽詰った声で訴えた。後期高齢者を対象とした奈良市の新型コロナワクチン集団接種の予約が始まった6日に本社へかかってきた電話だ。

　ネット受け付けはすぐに満杯となり、電話もつながりにくい状態が続いた。女性も終日、電話の前に座ってかけ続けたが、予約できなかったという。

　接種予約を巡る混乱は全国で相次ぎ、電話回線のパンクを防ぐためNTTが通信制限を行った地域もあった。また、愛知県西尾市では地元有力者の予約を優先的に確保したことに批判が集まった。

　人々が予約に殺到する背景には、ワクチンへの期待とともに供給不足への懸念がある。実際、奈良市も対象者約6万2千人に対し、この日の予約受付は6300人分しかなかった。

　今後、供給量が安定すれば、徐々に落ち着きをみせるだろう。それでも、予約受け付けを行う度に同様の混乱が危惧される。

　さらなる電話回線の増強やオペレーターの増員などの対策が必要。また、ITが苦手な人を支援しネット申込みに導く対策も望まれる。(法)