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国原譜

平安時代に成立した仏教説話集「日本霊異…

 平安時代に成立した仏教説話集「日本霊異記」に、天皇をいさめた忠臣の話が登場する。

 中納言・大神高市万侶(おおみわのたけちまろ)は、伊勢行きの準備を命じた天皇に「農事のさまたげになる」との意見書を提出して思いとどまらせようとした。

 天皇がなおも出掛けようとすると、今度は冠を脱いで返上し、「出掛けるべきではありません」と辞任覚悟で進言したという。

 別の話もある。日照りが続いた年、高市万侶は自分の田の水口をふさいで他の水田に水が流れるようにした。感じ入った竜神が高市万侶の田に雨を降らせ、名臣としての栄誉が後世に語り伝えられることになったという。いずれも庶民を思う高市万侶の徳をたたえる話だ。

 時は移って令和の世。総務省と農林水産省の幹部が利害関係にある業者の接待を受けたとして相次いで処分された。総務省が受けた接待は首相の長男が接待側というから、さらにたちが悪い。

 問題の根本が森友問題つながると感じる国民は多いはずだ。「心の緩み」で片付けられてはたまらない。高市万侶が聞けばどう言うだろう。(増)

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