国原譜

 寒さが身に染みる季節。街角に揺れる赤ちょうちんを見ると、乃南アサさんの短編「かくし味」を思い出す。

 「俺」が偶然見つけた居酒屋は、いつも常連客でいっぱい。老夫婦が切り盛りし、煮込みが名物だという。だしを継ぎ足し継ぎ足し使っており、鍋の底は誰も見たことがない。

 煮込みは次も通いたくなる魅惑の味。ただ、不思議なことに常連はいずれも短命で、一人また一人と亡くなっていく。やがて主人も亡くなり、供養を兼ねて常連か煮込みを平らげると、鍋に沈んでいたのは鉛の仏様だった。

 主人は鉛中毒を知らず、ご利益のために入れたのだろうが、食べてはならない隠し味だった。

 うまいと思うのは人の五感だが、口当たりや耳障りの良さだけで判断してはならないのが政治家だろう。表に見えない隠し味が、国民の信頼を裏切ることもある。

 「桜を見る会」を巡る安倍晋三前首相の説明は、とても納得のいくものではなかった。国民はコロナ禍にあえいでいる。後継の菅義偉首相はどんな隠し味を持っているのか。衆院選の年、政権2年目の年が間もなく明ける。(増)

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