政府が、というより菅首相らが肝いりで推進してきた「GoToトラべル」が、「全国で一時停止」となった。突然の方針転換に、振り回される旅行業者ら関係者の心労や苦悩は、いかばかりか。

　「同事業と感染拡大の関連を示すデータはない」と、首相らは事業への批判を突っぱねてきたのに、一体どういう風の吹き回しなのか。

　どうやら、各種世論調査で政権への支持率が軒並み急落したことで、危機感を募らせた結果への対応のようだ。コロナの感染拡大より、不支持拡大の方が怖いらしい。

　方針転換には科学的な説得力はなく、首相がよく使う科学的な「エビデンス(証拠)」とやらも感じられない。居酒屋での定番「とりあえずビール」、ならぬ「とりあえず一時停止」といったところか。

　動画中継サイトでの「ガースー」あいさつ、高級ステーキ店での大人数での会食には批判の嵐で、首相は“自縄自縛”状態。ご自身の危機管理が、まるでなっていない。周囲にいさめる者がいないのも情けない。

　大寒波襲来で、さらに冷え込む日本列島。今こそ温もりのある政治が欲しい。(恵)