奈良観光の定番と言えば修学旅行。仕事などで県内を訪れた人が当時を振り返り「高校生のとき以来で懐かしい」と話すセリフもよく耳にする。

　いわゆる大仏商法と同様、修学旅行への依存は旧態依然としている。ただ多くの人が奈良の思い出を共有することは観光地の強味にもなる。

　うまく再訪につなげれば将来の奈良ファンを育てられる。コロナ禍で観光客が激減した奈良公園に秋以降、集団で歩く中高生たちの姿が戻ってきたことに安どと新たな期待を抱く。

　一方、県内ではまだ修学旅行の実施校が少ないことに懸念を抱く。先日の県議会質疑では中止した高校が7校、未実施が22校と報告された。

　吉田教育長は修学旅行の教育的意義や学習効果を指摘。既に取り止めを決めた学校にも目的地を近くに変更したり日程を短縮するなど、代替旅行を検討するよう求めたと説明した。

　県民による県内旅行を推奨するキャンペーンに便乗すれば、地元の良さを再発見する県内修学旅行もありかもしれない。近場でも不満が出ない面白い旅プランを開発できれば、他府県校にも売り込める。(松)