来年のことが頭にちらつく時期になった。新型コロナウイルス感染の第3波が広がり「密」が懸念される初詣も一層話題になっている。

　神社本庁は新型コロナ対策のガイドラインを示した。各神社は境内での非接触、参拝人数制限などの策を進めている。

　分散参拝の呼び掛けも盛んだ。例年多くの初詣客でにぎわう県内の神社でも12月から縁起物の授与を始め、正月3が日以外の参拝も提案する。

　年の初め、信心する神仏に前年の安寧を感謝し、新年の幸を願いたい気持ちは分かる。だが、人々の暮らしを疲弊させる災いの種の拡大の可能性がある密を避けるため年頭の参拝を控えたことでへそを曲げるほど、神仏は狭量だろうか。

　旧暦から新暦になった明治初期以降、新年最初の満月の小正月に行われた伝統行事が正月1日に移行した例が少なくないと聞く。初詣も時代とともに変化している。

　例年と違う参り方でもいいのでは。いつも地域を見守ってくれている地元の社寺への参拝はどうだろう。まず身近な場所から穏やかな年を願うのもコロナ禍の時期に合っている気がする。(智)