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国原譜

県は能の発祥地であるが、能の大成者である世阿弥の言葉に「花」がある。「あの人には花がある」などと、花のような華やかさの意味で我々は用いている

 県は能の発祥地であるが、能の大成者である世阿弥の言葉に「花」がある。「あの人には花がある」などと、花のような華やかさの意味で我々は用いている。

 世阿弥のいう花は少し違う。「花と、面白きと、めずらしきと、これ三つは同じ心なり」(風姿花伝)。能にとって最も大切なものは「新しいこと」「珍しいこと」だと説く。

 「人気に左右される芸能の世界で勝ち抜くために、世阿弥が語った核心」(NHKブックス、土屋恵一郎著)。漫然と同じことをやっていてはいけないのだ。

 「古事記異聞 鬼統べる国、大和出雲」(高田崇史著、講談社ノベルス)を読んだ。出雲をテーマにした歴史ミステリーシリーズの完結編で、女子大学院生が奈良市、桜井市を訪れ、出雲にまつわる謎を解く。

 登場人物の設定からして若者向けの作品だろう。完全なフィクションというものの、多くの古典や学術書などを参考にしており、歴史についての新しく珍しい切り口を提示してくれる。

 「花」があれば、活字離れの若い層を引きつけられるのでは。何事も「花」を求めていかなくては進歩がない。(栄)

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