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金曜時評

野党第1党の責任 - 論説委員 松井 重宏

 立憲民主、国民民主両党などが合流した新「立憲民主党」の県総支部連合会(代表・馬淵澄夫衆院議員)が今月15日、党の結成から2カ月遅れて立ち上がった。自公連立政権が安倍晋三首相から菅義偉首相に引き継がれる中、野党勢力の再結集は、有権者に“分かりやすい選択肢”を示す効果も期待される。

 次期総選挙の日程はまだ見通せないが、新型コロナウイルス対策など緊急で重要な課題が山積しており、県内各選挙区に現職をそろえる自民党に対し、野党陣営も確かな政策と候補者調整を早期に進めてもらいたい。

 新立民の地方組織が発足したのは全国で43番目。県連幹事長に就任した藤野良次県議は組織づくりに時間を要した点について「丁寧に進めてきたため」と説明した。

 ただ同県連には、旧2党が擁していた地方議員計19人のうち13人しか顔をそろえず、残り6人は参加を見送った。また先月には、旧国民の生駒市議が、玉木雄一郎衆院議員らが新たに旗揚げした「国民民主党」の県生駒市支部を設立する動きもあり、馬淵代表が目指してきた「大きな塊」づくりは県内でも課題を残している。

 同党の有力な支援組織である連合奈良の西田一美会長は、今月5日に開いた第25回地方委員会で合流に一定の評価を話すとともに、組織内の地方議員らの動きを踏まえて「新しい立民が奈良の政治をいかにまとめていくのか」と注文も付けた。

 一方、馬淵代表は自身が情報発信するホームページで、来年の通常国会召集日が1月上旬に早まれば衆院の同月解散の可能性が高まると指摘、選挙準備を急ぐ姿勢を示している。

 立民は1区に現職の馬淵氏、2区は県議の猪奥美里氏の擁立を発表しているが、3区は未定。また昨年の参院選などで共闘、統一候補を支援した共産党との調整も残されている。猪奥氏は奈良市・山辺郡選出の県議で、大和郡山市や天理市、西和地域を範囲とする2区に転出するが、政権交代を目指す本気度を示すなら、全県的に知名度がある馬淵氏が2区にくら替え、猪奥氏はそのまま1区という判断があっても良かった。

 平成29年10月の衆院選を機に事実上分裂した旧民主・民進党の勢力を改めて糾合、野党第1党となる「大きな塊」づくりが県内でも形になった。次は、それが単なる離合集散の結果でなく、責任能力がある政党の誕生であることを証明してもらわねばならない。

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