核兵器禁止条約が来年1月に発効する。ただ批准した50カ国地域の中に日本の名はなく、菅首相の所信表明演説でも同問題への言及はなかった。

　一方、ホンジュラスの批准書提出で発効が決まるより以前、10月16日には県議会で日本の条約調印を求める決議を巡り、議論が起きていた。

　提案議員が読み上げた決議案では、県議会が平成29年に全国でいち早く核兵器廃絶を求める決議を採択したと指摘した上で、改めて政府に核兵器廃絶の推進役を求める姿勢を明示。

　さらに同決議案を議題とするため動議に賛成した議員が異例の演説を行い、被爆国が自ら核兵器の恐ろしさを発信しなければと強く訴えた。

　これに対して決議に反対する議員から意見が表明される機会はなかったが、多くは党に従い「条約は現実の安全保障を踏まえていない」などとする政府の主張を支持したのだろう。

　結果的に決議は否決されたが、当選11回ベテラン議員の熱弁は心に残った。核兵器の廃絶か抑止力の是認か。その議論を国も地方も決しておざなりしてはいけない。すべての人の命に関わる問題だから。(松)