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国原譜

今年の正倉院展は新型コロナウイルス対策…

 今年の正倉院展は新型コロナウイルス対策で当日券の発売は中止。観覧には「前売日時指定券」が必要だが、ほぼ完売状態らしい。

 今年も聖武天皇ゆかりの品をはじめ多くの宝物を出陳。豪華な楽器や鏡などに混じり、東大寺の大仏に献納された薬物も並んでいる。

 仏の供物に薬物は意外だが、大仏開眼会では牛黄(ごおう)や犀角(さいかく)などの薬物が供えられたという。今も東大寺二月堂の修二会(お水取り)などで、満行の証として僧侶の額に牛黄の印が押される。

 天平勝宝8(756)年、光明皇后は東大寺に60種類の薬物を献納したとされる。しかし、なぜか現在の正倉院には38種類しか残っていない。

 その答えは献物帳「種々薬帳」の中にある。「盧舎那仏(大仏)を供養するのが第1の目的だが、もし病人に薬が必要なら用いてよい」と記され、実際に病人救済に薬が使われたと考えられる。

 奈良時代には天然痘が流行し、光明皇后は施薬院を置き病人の救済した。1300年前と同様、悪疫に翻弄(ほんろう)される中、皇后の思い感じさせる宝物といえる。(法)

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