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国原譜

「岩の上で小猿が米を焼いている。その米…

 「岩の上で小猿が米を焼いている。その米だけでも食べていらっしゃいよ。カモシカのおじいさん」。飛鳥時代、そんな童謡がはやったと日本書紀にある。

 童謡と書いて「わざうた」と読み、日本書紀では世情の変化や不吉な出来事の前触れとしてしばしば用いられた。

 この歌が暗示するのは上宮王家の滅亡。聖徳太子の没後、子の山背大兄(やましろのおおえ)は一族が暮らす斑鳩宮を蘇我入鹿の軍勢に焼かれ、生駒山に逃れた。

 小猿は入鹿、カモシカは山背大兄、「岩の上」と「米焼く」で山背大兄の上宮を焼くとなる。再挙を図ることもできただろうが、一族は生駒山を下りて斑鳩寺(法隆寺)に入り、自死を選んだ。空から五色の幡(はた)が現れ、寺に垂れかかったという。

 戦前に法隆寺境内で発掘された焼け土が、約80年ぶりに同寺で確認された。町教育委員会は入鹿に焼かれた斑鳩宮の壁土とみている。

 焼けたと言われても素人目には分かりにくい褐色の土くれだが、古代史の大事件につながると思うと想像も膨らむ。その壁の向こうに山背大兄がいたかもしれない。(増)

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