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国原譜

昔、長く使われた道具には霊魂が宿り「付…

 昔、長く使われた道具には霊魂が宿り「付喪神(つくもがみ)」になると考えられていた。人々が道具に対して愛着を持ち、大切にしていた表れだろう。

 12日、高円宮妃久子さまが春日大社国宝殿で開催中の奈良人形師森川杜園の生誕200年展を見学された。同展には高円宮コレクションの杜園作品の中から数点の根付が出展されている。

 根付とは帯に提げ物をつるすための留め具。日用品であったため、置物の人形と比べると彩色が剥落するなど傷みが目立つ。

 しかし、使用者に慣れ親しまれた結果、生まれた傷みは独特の味を醸し出し、杜園の優れた技巧と相まって、根付はまさに付喪神のように感じる。久子さまも同展の図録に「その姿は『愛用された証』としてご理解いただきたく存じます」と記されている。

 大量消費社会の現代は使い棄ての道具が主流。高価な車や電化製品でさえ数年で買い換えられ、道具も付喪神になる暇がない。

 修理を繰り返し、長く使い続けるのことが日本文化の精神。仕事や生活を助けてくれる身の回りの道具たちを、もっと愛さなければと自戒した。(法)

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