特集奈良ラーメン探検隊活動中!

国原譜

東大寺の大仏殿前に、子どもが見たら泣き…

 東大寺の大仏殿前に、子どもが見たら泣き出しそうな木像が鎮座している。釈迦の弟子の一人、びんずる尊者で、患部と同じ部位をお像でなでると病が癒えるとされる。

 同寺のびんずる尊者も擦り減った膝や腕が信仰の歴史を物語るが、終戦後、進駐軍の関係者がこの像の膝にどっかりと腰を下ろす写真が見つかった。

 「奈良県の百年」(山川出版社)によると、米第6軍の約2千人が奈良に進駐したのは昭和20年9月24日。県庁の一角に奈良軍政府が設けられ、星条旗が翻った。

 以前、取材で奈良市高畑町の民家を訪れた際、一部が洋風に改造されているのを見た。同町の民家は将校住宅として接収され、手を加えられることもあったという。

 戦時中、東大寺は大仏殿の鴟尾(しび)に擬装を施すなどして空襲に備え、仏像の疎開も行われた。

 敗戦を経て、びんずる尊者の膝で記念写真に収まる進駐軍。やがて朝鮮戦争が始まると、奈良市には米軍のR=Rセンター(休息レクリエーションセンター)が設けられ、風紀の悪化が社会問題となる。奈良の戦後史を垣間見る一枚だった。(増)

特集記事

人気記事

  • 奈良の逸品 47CLUBに参加している奈良の商店や商品をご紹介
  • 奈良遺産70 奈良新聞創刊70周年プロジェクト
  • 出版情報 出版物のご購入はこちらから
  • 特選ホームページガイド