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金曜時評

実感できる政策を - 主筆 甘利 治夫

 国民の高い共感を得て菅義偉首相が誕生し、新内閣がスタートした。安倍晋三前首相の体調不良による突然の退陣で、官房長官として女房役に徹してきた菅氏の登板となった。これまでも突然の退陣劇は数多くあったが、無派閥でしかも世襲議員でない議員が首相になったケースはほとんどない。

 実質的な首相選びとなった今度の自民党総裁選を見ていて、同党の層の厚さと、知恵者がいかに多いかを実感させられた。たまたまNHKの大河ドラマ「麒麟(きりん)がくる」が再開したが、戦国時代の終わりを告げる織田信長や豊臣秀吉、徳川家康などが登場し、主人公の明智光秀を軸に話が進んでいる。天下取りの物語だ。そんな武将たちの武力や駆け引きの妙は、血を流さないものの今に通じるものがある。

 ともあれ菅政権はスタートした。これまでのような任期途中の交代劇ではなく、世界的なコロナ禍という異常事態の中での出発となった。7年8カ月前の第2次安倍政権誕生の時は、経済再建が声高に求められ、アベノミクスの名のもとに、株価の上昇などで効果があったとされる。しかし、大企業に恩恵があったかもしれないが、国民全体にはその実感はない。そんな中で新型コロナウイルスの世界的流行だ。

 自粛、我慢が求められ、経済的にも窮地に追い込まれた大多数の国民がいることを知らねばなるまい。あの10万円の給付金は目に見える形で喜ばれた。決して抜本的なものではないが、消費活動で経済が回る。同時に地方自治体もあの手この手で地域振興券などの形で、消費拡大策を展開している。ただ、悪用したり一部の心ない人が得することのないようにしたい。給付金の時のように経済再建の恩恵が一律に国民全体に行き渡り、納得させることが肝心だ。

 奈良県にとっては、観光業の振興をお願いしたい。外国旅行を控えた人たちが、自分を見つめ直す機会に古都を訪れてほしい。関係する産業振興や施設整備も必要になる。コロナ対策を十分にして、人が動く施策を取ってほしい。

 当然のことながら、一国の首相は国民の生命の安全、安心を守ることが第一だ。防衛問題をはじめ自然災害対策、教育など各分野で取り組むべき課題は山積している。秋田県の農村出身の新首相だからこそ、地方の痛みを理解してもらえると思う。

 奈良選出の国会議員は、ナマの県民の声にしっかり耳を傾け、国政に反映させてもらいたい。

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