例年なら子供たちは夏休みに入る頃だが、今年は新型コロナウイルス感染予防で長期休校があったのでもう少し先になる。一方で「この時期ならでは」が進行してもいる。

　読書に誘う催事もしかり。出版大手が中学、高校生らを主対象に、おすすめの文庫本を紹介するキャンペーンが今年も始まった。

　時代を超えた名作から現代を映した作品まで各社各様にラインアップ。書店で手に入る宣伝用小冊子は、各書の印象的な一文や既読者の推薦文を交えるなどの工夫があり、これだけでも楽しい。

　県で人気の啓林堂書店の各店では、恒例の小中学生向け企画「夏のこども読書マラソン」がスタートした。好きな本を読んで感想カードを提出すると、枚数に応じて書籍購入時の特典が得られる。

　今夏で8回目。8月31日までが期間だが、同書店のフェイスブックを見ると、すでに続々とカードが寄せられている。

　中高年、青年層向けの雑誌も7月、相次いで読書案内の特集を組んだ。読書の適時は、秋だけではないことを思わせる。そんな季節を子供たちだけのものにするのはもったいない。(智)