注目記事読者に奈良の地酒プレゼント

国原譜

地域に伝わる古文書類は土地の歴史を語る…

 地域に伝わる古文書類は土地の歴史を語る貴重な史料だが、眉唾物もあるらしい。先ごろ、中公新書から刊行された「椿井文書」は、近畿一円に分布する史料を偽文書と指摘し話題を呼んでいる。

 椿井文書とは江戸後期、山城国相楽郡椿井村(現木津川市)出身の椿井政隆が創作したとされる文書類。興福寺の末寺を記した「興福寺官務牒疏(かんむちょうそ)」など数百点にも及ぶ。

 大量の関連史料を作り、互いに関係づけて信ぴょう性を高める手法が特徴だ。県内を含む各地の自治体史にも引用されている。

 元々は土地争いなどで有利な材料にしたい依頼者の求めに応じて作られた文書。「かくあってほしい」という人々の思いが生んだ歴史といえる。

 同書の著者、馬部隆弘大阪大谷大学准教授は以前に勤務した自治体で、椿井文書を基にした学校教材の誤りを指摘すると「史実よりも子どもの関心が大事」とされたという。本当にそうだろうか。

 文化財活用が叫ばれる中、椿井文書に限らず同様の事例はありうる。史実を軽視し都合良く利用してはならない。(法)

特集記事

人気記事

  • 奈良の逸品 47CLUBに参加している奈良の商店や商品をご紹介
  • 奈良遺産70 奈良新聞創刊70周年プロジェクト
  • 出版情報 出版物のご購入はこちらから
  • 特選ホームページガイド