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国原譜

邪馬台国の女王、卑弥呼の墓といわれる桜井市…

邪馬台国の女王、卑弥呼の墓といわれる桜井市の箸墓古墳を明治9年に撮影した写真がある。うっそうとした姿を見慣れた墳丘に木はまばらで、後円部に上がる道も見える。

 撮影は箸墓古墳全域が陵墓に決まった翌年。それまでは地元の人が薪などを取りに入っていたという。

 河合町の国史跡、大塚山古墳に地元の子どもが保護者とタケノコ掘りに出掛け、タケノコと一緒に埴輪(はにわ)も掘り出し持ち帰った。立ち入りは禁止されておらず、昔も今もタケノコ掘りの名所という。

 新型コロナウイルスの感染拡大で鬱々(うつうつ)と過ごす子どもたちにとって、楽しい一日だったに違いない。学校の聞き取りでは「土器」と表現しており、思わぬ発掘体験にわくわくしたことだろう。

 身近な古墳だが、大塚山古墳の重要性は参加した大人にも子どもにも認識されていなかった。郷土学習の在り方を考え直すべきだろう。

 これまでもタケノコ掘りのついでに遺物を持ち帰った人はいるかもしれない。史跡への親近感と文化財としての管理をどう両立するか、考えるのは大人の責任である。(増)

 

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