金曜時評

明確な態度表明を - 主筆 甘利 治夫

 「戦いはこれからも続きます」

 選挙後の新しい議会で、市長の不信任案が可決されて失職した宇陀市の高見省次・前市長は、翌日の自身のフェイスブックで、持論を展開し、これからの「戦い」を宣言した。

 「市民の皆様にご報告」というものだが、なぜ不信任案が可決されたのか、反省の言葉はそこにない。新型コロナで大変な時期に、「市長不在という自治体の危機管理体制を揺るがす状況を、議会がわざわざ作り出すということは、まさに住民不在、言語道断と言わざるを得ません」と、議会を批判している。

 コロナ問題以前の昨年9月議会で辞職勧告決議案が可決し、12月議会で出された不信任案の動議は否決されたものの、今年の3月議会で、不信任案が可決するという流れがあった。こうまで繰り返し、市民から選ばれた議会から、信任されなかったことの反省がまったくなされていない。

 コロナを問題にするなら、議会を解散してまで選挙をしたことの整合性がない。「議会を変えるしか改革を進める道はない」と判断して解散した議会は、結果はどうだったか。「本来の議会に生まれ変わることを期待」に、市民は明確な審判を下した。

 高見氏の考える「一貫して市民の視点の改革を推し進めて」きた「市民」感覚とは大きな隔たりがあった。

 再度、決議された不信任案の採決で、反対は共産党議員1人で、他はすべてが賛成した。議場で、市長派とされていた新人議員までもが起立して賛成したのを目撃して驚いたが、聞けば選挙中に離反していたようだ。

 議員が市民の代弁者であることを知らねばなるまい。「もはや議員を変えるしかない」などいう独善的な発想が、市民を忘れた自己本位のものだ。「ご報告」を読んで、なぜ不信任決議されたのか、まったく分かっていない。逆にこれを読んだ人は、なぜ高見氏が不信任決議されたかが分かる。

 首長になったら「何でも思うようにできる」と、錯覚していたのではないか。市民から選ばれた議会と遂行する職員との理解がなくては前に進まない。

 末尾に「戦いはこれからも続きます」とした高見氏は、21日に告示される市長選で、改めて信を問うことをしないのか。いまだに態度を明確にしていない。職員に「情熱と責任感を持って」チャレンジを呼びかけてきたのだから、正式に態度表明すべきだ。

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