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国原譜

奈良公園一帯に生息する鹿は昨年調査で1…

 奈良公園一帯に生息する鹿は昨年調査で1388頭。彼らにとって、鹿せんべいは欠かすことのできない日常食なのか、おやつなのか。

 新型コロナウイルス禍の出口が見え始めた県内で、そんな議論も起きそうだ。公園をさまよい出た鹿たちが、市街地深くまで遠出しているという。

 緊急事態宣言で奈良市を訪れる観光客が激減、鹿が遠出するのは鹿せんべいがもらえず腹が減るからと言われると、なるほどと思う。

 江戸時代の名所案内記「大和名所図絵」には、春日大社参道の担(にない)茶屋で旅人に餌をもらう鹿が描かれている。客が放り投げているのが鹿せんべいといわれるが、厚みがあるようにも見えてよく分からない。担茶屋は「火打ち焼き」と呼ばれる菓子が名物だった。

 いずれにしても、奈良公園の鹿たちが、観光客にもらう餌を江戸時代から空腹の足しにしていたのは確かなようだ。

 さて、コロナ禍とさまよい鹿の関係はどうなのか。人の世の環境変化を鹿が敏感に感じ取っているとするなら、1200年かけて培われた「奈良の鹿」と人の関係は、想像以上に深い。(増)

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