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金曜時評

“共同作業”は続く - 編集委員 辻 恵介

 1月の終わりごろは、新型コロナウイルスの感染について、これほどまでに深刻な影響を及ぼすとは、ほとんどの人が想像していなかっただろう。

 あれから事態は深刻さに加速度を増し、多くの犠牲者を出してしまった。終息の見込みはつかず、特効薬の開発を待つしかないが、ここへきてアビガンだけでなく、レムデシビルといった治療薬の名前が出てきたのは明るい材料だ。

 今回のウイルスの厄介なところは、自分が知らないうちに感染し、知らないうちに他人に感染させてしまう危険性を伴う点だ。

 それにしても、一連の政府の対応は、のろのろ運転、後手後手で、優先順位が違うだろうと感じてしまう。国民の感覚とのズレがひどい。巨額の税金を使ったマスク配付は不良品が見つかり回収というお粗末さ。現金給付も、何だか国が出し渋っているような印象しか受けない。企業倒産などが急増し、資金援助などの施策は「喫緊の課題」。「緊急対策」のはずがそうなっていない。政府への信頼感は薄れるばかりではないか。

 「3密(密閉・密集・密接)を避けて」と国民に要請しながら、高齢議員も多いのに密集した空間で会議をしている国会の姿も変えていくべきだ。議員の数も多過ぎる。こんな国難の中だから、国会議員のボーナス返上は当然ではないか。

 この間に、マスクだけでなく、医療衛生品などの資材不足も深刻さを増した。供給を海外の工場に頼り過ぎた点を踏まえて、国内で生産する割合を増やすことも考える必要があるだろう。「自給自足」という言葉を今一度思い起こす必要があろう。ウイルスとの闘いは、今後も続いていくからだ。

 そんな医療器具の不足という悪条件や、常に感染症のリスクと闘いながら懸命に業務に励む医療従事者の方々には、本当に頭が下がる。ましてや、こうした医療従事者やその家族に対する差別などあってはならない。あらゆる支援を医療関係分野につぎこみ、医療崩壊を防がねばならない。

 「不要不急の外出を控える」というルールを、国民一人一人が守り抜くことが、終息への近道。GWが明けても緊急事態宣言は延長されそうだ。

 外出自粛の延長は辛いが、「ステイホーム」は、「ウイルスを拾わない・運ばない」ことで自分や家族、大切な人を守り抜くための“共同作業”。世界中の人々が同じ取り組みを続けて、闘っていることを常に忘れずにいたい。

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