運動担当で全国高校総合体育大会(インターハイ)を何度となく取材した。夏の青空の下、躍動する高校生の姿がまぶしかった。しかし、今年はその輝きを見られない。

　全国高体連は26日、新型コロナウイルス感染拡大を受け、今夏のインターハイの中止を決めた。昭和38年に始まって以来、史上初めての中止となる。

　全国から選手が集まり移動や宿泊による感染リスクは大きい。さらに多くが休校中で部活動もままならず、練習不足による試合中のけがや事故も危惧され、選手の安全を考えると中止は致し方ない。

　それでも、春の全国選抜に続いて晴れの舞台を失った選手たちの心情を思うといたたまれない。東京五輪の影響で会場確保が難しく、全国各地での分散開催に尽力した関係者の無念もしのばれる。

　インターハイの成績は大学入試のスポーツ推薦の参考にされるという。中止によって前途ある選手たちの進路に影響があってはいけない。

　そして、何よりも大切なのは選手たちの心のケアだろう。選手たちがこの逆境を将来への糧とできるよう、指導者は努力してほしい。(法)