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国原譜

奈良市の猿沢池に魚を放流する興福寺の伝…

 奈良市の猿沢池に魚を放流する興福寺の伝統行事「放生会(ほうじょうえ)」が様変わりした。寺は今年から池畔に設けた約4メートルのスロープからモツゴという魚を流す方法に変えた。

 昨年までは別の場所で育てた金魚をおけから流していた。しかし、池の生態系の破壊につながる恐れがある上、他の生物に食べられてしまうことも多かった。

 そもそも、放生会とは殺生を戒め命の大切さを訴える仏教行事。池の生態を脅かし、せっかく放した金魚の命も助けられないのでは行事の趣旨に反する。

 外部からの批判も受けた寺では近畿大農学部の北川忠生准教授に相談。あらかじめ池に住む魚を捕らえ、在来種のモツゴだけを放すことにした。さらに魚へのダメージを考慮して放流用スロープも設けた。

 「風情が無くなる」との声もあるが、伝統行事が時流に合わせて形を変えることも必要だろう。形を守ることよりも、仏の教えや心を伝えることが大切だ。

 興福寺のような伝統ある大寺が批判を恐れず変革に取り組む姿勢を評価したい。各地の放生会でも見直しが進むかもしれない。(法)

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