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国原譜

江戸時代の観光案内書である大和名所図会…

 江戸時代の観光案内書である大和名所図会の内容を紹介した「図典『大和名所図会』を読む」(本渡章著、創元社)。当時の県内各地のにぎわいが目に浮かぶ。

 描かれた絵が味わい深い。社寺境内の鳥瞰(ちょうかん)図や名所・旧跡の風景、年中行事の描写、故事・伝承についての絵物語など多彩だ。

 有名な寺の建物でも、現在は焼失していたりする。反面、当時にないのが明治以降に再建されていたりして、寺の変遷を教えてくれる。

 名所図会は他にもあるが、大和(奈良)は「江戸時代から見た大和の歴史案内にもなっている」と著者は指摘する。日本のふるさとならではの特徴といっていい。

 名所とは歌枕の地。図会にも、絵にその地を詠んだ歌が添えられ、読者である江戸庶民の歴史や歌についての教養が分かる。当時、世界的にみて屈指の民度があったのだ。

 世界中でコロナウイルスが猛威を振るう中、日本が比較的抑制されているのは、国民全体の衛生意識と民度の高さではないだろうか。名所図会の人々のように、穏やかな顔で観光できる日が再び来るまで踏ん張ろう。(栄)

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