県内でも新型コロナウイルス感染拡大で疲弊する経済活動を自治体独自に支援する動きが出てきた。奈良市では弁当販売会で、生駒市は代金先払いや情報発信でそれぞれ市内飲食店の応援を始めた。

　苦境に立つのは飲食業界ばかりではない。けれども、これらをきっかけに地元経済を支える多様な発想が出てくることに期待が高まる。

　県外を見れば他業界の動きもある。ライブハウスはクラウドファンディングやグッズ、前売り券販売などで支援の輪が広がる。

　京阪神などのミニシアターは、終息を待っていては地域文化が消滅すると、13館が共同でプロジェクトを立ち上げ、Tシャツの販売と寄付を募集。苦しくとも感染症拡大防止を念頭に「映画館に来て」の代わりに「Tシャツを買って」と呼び掛ける。

　今の自分を形作る何パーセントかは映画や地域の映画館のおかげと自認する。余裕があるわけではないが、わずかばかり協力させてもらった。

　先が見通しにくい感染症に世間の空気は重々しい。だが終息後を思い、自分の暮らしに欠かせないものへまなざしは向け続けていたい。(智)