金曜時評

危機であればこそ - 編集委員 松岡 智

 新型コロナウイルス感染拡大は世界的不況の様相で、国内はもとより県内経済も日ごとに深刻さを増している。県内の民間信用調査会社や経済団体が3月に行った調査では、すでに影響が出ているとの回答を含め、今後の業況悪化を懸念する県内企業が7~9割を占めた。各種機関への融資などの相談件数も3月以降増加傾向。感染症拡大を想定した事業継続計画(BCP)は未策定の事業者も多く、業種を問わず苦境に立たされている状況がうかがえる。

 国内での感染拡大のピークがまだ先で、影響の長期化が確実視される中、中小、小規模が多数を占める県内企業はどう歩むべきか。さまざまな提言がされているが、あらゆる支援を利用し、手段を尽くして存続を図る一方で、あらためて自社を総点検し、終息後も見据えた長期のビジョンを練り直す機会とすべきとの考えもある。

 会員企業らへの影響調査を実施、公表した県中小企業家同友会も、同様の意向を示す。今回の事態をリーマンショック時以上の深刻さで長期化すると受け止めつつ、会員企業らに対し、まずは雇用を守り、事業を継続するための方策を会報などを通じて立て続けに発信している。

 同時に自身の企業を見つめ直し、外部にアピールできる技術や企画力、商品といった企業価値を再度探ることを提言。ビジネスパートナーや金融機関に示せる将来性、長期計画の見直しもうながす。

 順調な時は、販路や原材料での取引先、受け入れ顧客の多様化といったリスク分散などを忘れがちになる。時流に沿った情報発信、企業基盤の強化が後回しになっている場合もある。そんな部分も交え、苦しいながらも体力の残る時に将来を展望して知恵を絞り、変革を実践に移す、口でいうほど簡単ではないが、転んでもただでは起きない姿勢も必要とされる。

 もちろん危機から学び、今後に生かすことは事業者に限らない。県内企業の存亡は市民生活にも大きく関係する。生活の質の維持、向上のために、感染症禍の早期終息に向けた各自の心構え、最善の行動も欠かせない。

 また行政や各種機関には県民、事業者の不安を和らげ、今後に希望が持てる情報の提供、スピード感のある施策が求められる。それらは結果的に安定した税収、収益にもつながる。

 良しにつけ悪しきにつけ、それぞれの立場での行動、取り組みが回り回って自分に返ってくることを忘れてはならない。

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