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国原譜

仏教世界や修行者を守るとされる毘沙門天…

 仏教世界や修行者を守るとされる毘沙門天は、いかめしい武人の姿で表現される。のぼりに「毘」の1字を掲げ、自らをその生まれ変わりと信じた上杉謙信を思い浮かべる人も多いだろう。

 奈良国立博物館で、毘沙門天像の優品を集めた展覧会が開かれている。観音菩薩が衆生を救おうと変化(へんげ)した姿の一つであり、その妻が吉祥天と聞けば、さらに親しみが増す。

 会場を一巡すれば、独尊や三尊形式、背中合わせの双身像など、毘沙門天のさまざまな表現を知ることができるが、おもしろいのは足元に踏みつけられた邪鬼たちだ。

 胸を張ってすっくと立つ毘沙門天と対象に、仰向きだったり、うつ伏せだったり、尻を突き出していたりと見ていて飽きない。地中から湧き出すような地天女もいる。

 いかめしい毘沙門天も、踏みつける鬼や支えてくれる地天女あっての立ち姿。展覧会の主役は毘沙門天だが、邪鬼たちの晴れ舞台でもあるのだろう。

 県内でも梅が見頃の便りが届き始めた。旅立ちと出会いの春はもうすぐ。誰もが他者と補い合って、社会の歯車が回っていく。(増)

 

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