知り合いのロシア人の話。ソ連崩壊前に家族でモスクワ旅行した際、永久保存(防腐処理)されたレーニンの廟を訪れた。

ロシア革命の父である、レーニンの遺体を見るためにソ連各地から人が集まり、2時間以上並んだとか。子どもだったので、「気持ち悪いのを見るために何で2時間も」との感想を抱いたという。

　ソ連崩壊時には、レーニン像を民衆が壊している映像が日本でも放映されていた。ロシアではソ連崩壊前と後では価値観がコペルニクス転換した。日本は昭和の戦争前と後では、そうだった。

　その後の大きな転換点は何だったかと考えると、経済の面ではバブル経済崩壊ではないか。右肩上がりの高度経済成長がマイナスに転じた。

　「日本は一億総中流」と言われたのは昔話。非正規雇用の増加などにより、国民間の格差が広がっている。「上級国民」「下級国民」が流行語だ。

　雇用環境が厳しかった「就職氷河期世代」の支援が課題になっている。奈良労働局は、同世代への就職支援や求人企業の募集などを始めた。これ以上の格差拡大は、日本崩壊に結びつきかねない。(栄)