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春の甲子園は出場の32校が決まり、開幕…

 春の甲子園は出場の32校が決まり、開幕を待つばかりとなった。高校野球に限らず、スポーツのさまざまな場面で「感動を与える」「感動をもらった」と聞くのに違和感を覚えていたら、一刀両断の文章に出合ってうれしくなった。

 NHKで時代考証を担当してきた大森洋平さんの「考証要集」(文藝春秋)。辞典形式で書かれた中に、二つの言葉の説明がある。

 いずれも90年代以降に出てきた表現とあり、「感動は身の内から湧き出るのであって、他人とやり取りするものではない」とバッサリ。作家の林真理子さんは「心が通っていない空疎な言葉」と批判したという。

 組織の賞罰ならいざ知らず、人に何かを「与える」と言うのはおこがましいと思うのが普通の感覚だろう。

 スポーツでも音楽でも映画でも、身の震えるような感動を味わうことがある。いずれも自身の感性が生み出すもので、人に言うなら「感動した」がしっくりくる。

 春の甲子園の開幕は3月19日。県内からも天理、智弁学園の2校が出場する。観客の感動など関係なく、練習の成果を余さず発揮してほしい。(増)

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