国原譜

 春日大社国宝殿で開催中の展覧会「最古の日本刀の世界」が人気のようだ。天下五剣の一つ「童子切」は、源頼光が大江山の酒呑童子(しゅてんどうじ)を斬ったと伝わる。

 吉川英治の小説「宮本武蔵」に、武蔵が刀を研ぎに出すくだりがある。映画にも描かれた名場面だ。

 武蔵が差し出した刀を見た研ぎ師は「斬れるように研げとおっしゃるのか、斬れぬほどでもよいとおっしゃるのか」。「斬れるに越したことはない」といぶかる武蔵に、研ぎ師は刀を返して研げないと言う。

 刀身に「拭い切れない無数の精霊の血脂」を見たからだが、日本刀は血が付いまま放置すれば腐食が進む。拭う程度では不十分で、戦国時代には砥石(といし)持参で戦場に赴く武士もいたという。

 武蔵に対した研ぎ師も、当世の刀の扱いを嘆き、古刀は今の鍛冶がまねても二度とできないと憂う。

 鬼切丸が造られたのは平安時代。現代まで千年ほども伝わるには、よほど丁寧に手入れを続けねばならない。酒呑童子斬りの伝説はさておき、刀身が放つ光には、持ち主や研ぎ師の思いも宿る。(増)

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