注目記事奈良県内の自治体異動名簿掲載

国原譜

奈良市中心市街地の大宮通より北側地域を…

 奈良市中心市街地の大宮通より北側地域を指す「きたまち」の名称はすっかり定着した。観光客でにぎわう「ならまち」に対する新しい名称だが、まちの歴史は古い。

 東大寺、興福寺の門前町に始まり、中世以降は奈良の北の玄関口として栄えた。今も多くの歴史資産が点在し、「法蓮格子」と呼ばれる様式を用いた町家も残る。

 まちに歴史があれば、魅力ある人も多い。郷土史研究家・安達正興さんの新著「奈良きたまち 異才たちの肖像」(奈良新聞社)では、きたまちゆかりの4人を紹介する。

 わび茶の祖・村田珠光、平城宮跡保存の功労者・棚田嘉十郎、一刀彫りの名工・竹林高行、語学の天才・宮武正道。いずれも中世から近代の隠れた郷土の異才たちだ。

 彼らが育った背景には「きたまち」が持つ性質もある。中世以後も都市であり続けた奈良の中心であり、全国から集まる多くの人の交流があった。

 重要文化財・旧奈良監獄を利用したホテルの開業を控えるなど「きたまち」は今後、大きな変貌を遂げる。まちの歴史文化を守るためには人の歴史にも目を向けたい。(法)

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