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金曜時評

中南和のモデルに - 主筆 甘利 治夫

 県内の市長選挙で自民党推薦候補が勝利したのは、本当に久しぶりだという印象が大きい。そんな橿原市長選だった。党県連が推薦を決めたにもかかわらず、その内実たるや、いろいろな声が聞こえてきた。それだけに懸命に戦った党員、支持者の追い上げぶりは、執念さえ感じられた。こうして市民の審判が下ったのだから、市政の停滞は許されない。次に進まなければなるまい。

 前県議で新人の亀田忠彦氏は、4選を目指した現職の森下豊氏を僅差で破っての初当選だ。この12日に初登庁し、亀田市政がスタートしたばかりだ。47歳という若い亀田氏は、12年前に多選批判で現職を破った森下氏の当時の年齢とほほ同じで、因縁めいたものを感じる。だから「経験不足」や「若過ぎる」などの批判は気にすることはない。

 もう、うかれていることはあるまいが、選挙結果を見れば、前回と同じように僅差での当選だった。そのことをしっかり肝に銘じてほしい。これまでの森下市政が築いてきた良いところは継承し、選挙戦で主張した改めるべきは改めたらいい。ただ外から見てきたのと、実際に取り組んでみると違うことはよくある。市民との約束を実行するために、急ぎ過ぎてもいけない。

 前市政の中身は、議会の承認があって進められてきた。議会を敵に回してはならない。公約を推進するためには、議会との関係が大事になる。首長の権限は大きいからこそ、議会とどう向き合うかがポイントだ。前市長支持の議員もいる。要は市長も議員も「市民の方を向いているか」にかかる。

 他市の場合でも分かるが、現職を破って当選した首長が、議会対応を誤り、予算が通らず公約を守ることができない事例がいくつもある。議会とうまくいかず、行政も停滞する。議員も同じ市民から選ばれていることを忘れず、「共に市民のため」の姿勢であれば、前に進むのではないか。

 12万人という県下第二の人口を抱え、鉄道も道路も交通の要所である橿原市は、中南和の拠点といえる。一橿原市のことだけでなく、常に近隣市町村との連携を考えてほしい。そして県とのパイプ役を訴えてきた亀田市長だから、その模範となっていただきたい。

 たとえば5年前に発足した広域消防組合は、理念は良くても旧市町村の壁が未だに大きく、厳しい実態が浮き彫りになっている。市民の安心、安全のために、先頭になって汗を流してほしい。

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