国原譜
奈良新聞の前身、大和タイムスは、昭和3…
奈良新聞の前身、大和タイムスは、昭和39年の東京五輪を前に「オリンピック」と題した連載を掲載した。開会式の1カ月前からほぼ半月にわたる連載だった。
その第4回は「水泳の母・吉野川」。この年の五輪を含め、13人の五輪選手を吉野川が育んだことを紹介している。
「吉野川の急流に浸かって泳ぎを覚え、スタミナを養う。そして五條高のプールで磨きを掛ける」。下市町から東京五輪に出場した東美代子選手の談話にそうあった。
昭和3年に開かれた紀和学童水泳大会では、急流に荒縄を張ってコースをつくったというから半端ではない。東京で東選手を応援しようと、下市町では体育協会の有志が五輪の1年前から積み立て貯金をしたというエピソードも連載にある。
吉野川は今も変わらず流れているが、プールが整った今、そこで水泳に励む子どもはどれだけいるのだろう。連載で古老の言葉として紹介された「吉野川は奥地開発で汚れ、もう泳げない」との言葉が気になった。
半世紀を経て再び開かれる東京五輪。世界の祭典は郷土を見つめ直す機会でもある。(増)
その第4回は「水泳の母・吉野川」。この年の五輪を含め、13人の五輪選手を吉野川が育んだことを紹介している。
「吉野川の急流に浸かって泳ぎを覚え、スタミナを養う。そして五條高のプールで磨きを掛ける」。下市町から東京五輪に出場した東美代子選手の談話にそうあった。
昭和3年に開かれた紀和学童水泳大会では、急流に荒縄を張ってコースをつくったというから半端ではない。東京で東選手を応援しようと、下市町では体育協会の有志が五輪の1年前から積み立て貯金をしたというエピソードも連載にある。
吉野川は今も変わらず流れているが、プールが整った今、そこで水泳に励む子どもはどれだけいるのだろう。連載で古老の言葉として紹介された「吉野川は奥地開発で汚れ、もう泳げない」との言葉が気になった。
半世紀を経て再び開かれる東京五輪。世界の祭典は郷土を見つめ直す機会でもある。(増)