金曜時評

自己判断の時代に - 編集委員 辻 恵介

 先の台風15号、19号などによる豪雨によって、東北から関東、中部地方までの広域にわたって、中小河川の氾濫や住宅への浸水などが連続して起こってしまった。特に千葉県での被害は甚大だった。濁流に浸かった家具などを運び出し、「さあ、これから」という時に、3度目は大雨。かつてない事態に言葉が出ない。

 3度目の大雨・洪水被害には特徴的な事例があった。道路に濁流があふれる中、車で避難しようとして急激な浸水に遭遇。車から出られなくなって亡くなった人が死者の半分近くになり、「車中死」という言葉までできた。

 高齢者らが身内にいると、車で避難しようとする比率は高まる。非常に悩ましい選択になる。家の2階以上に移動する「垂直避難」を選ぶのか、車や徒歩で避難所に向かうのか。時間帯や周囲の被災状況にもよるが、その判断は難しい。だが、これからは、個々人のそうした判断が生死を分ける事態が増えてくるだろう。

 読者は「防災ハザードマップ」を見たことが、おありだろうか?

 「地域住民が、素早く安全に避難できることを目的に、避難場所などの情報や被害が想定される区域と被害の程度を地図上に明示したもの」のことだ。市町村が配布してはいるが、存在を知らない人も意外と多い。

 奈良県のHP(ホームページ)によると、県内では「洪水想定区域」に指定された31市町村でこうしたマップが作られている。ぜひ一度は家族でマップをもとに話をして、避難場所や避難場所への道順などについて共通認識を持っておいてほしい。自治会がある所では、避難訓練も含めて、災害が迫る中での具体的な役割や行動について、話し合っておくことも必要だろう。

 また、パソコンなどがある家庭では、県内の河川の水位を避難の判断の参考にするのもいいだろう。国土交通省の「大和川河川事務所」のHPでは、大和川につながる水系の観測地点の水位が、カメラの映像や図面でリアルタイムで確認できる。携帯サイトもあるので、一度のぞいてみてはいかがか。

 ようやく秋も深まり、きょうから11月。「台風の季節はもう終わった」と思いたいが、油断はならない。平成2(1990)年の台風23号は、11月30日に和歌山・白浜に上陸していた。

 「想定外」の事態は過去にもあったが、現代という時の流れの早さから、それらが忘れ去られてきているだけなのかもしれない。

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