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国原譜

リチウム電池の研究でノーベル化学賞に決…

 リチウム電池の研究でノーベル化学賞に決まった吉野彰さんは京都大学でサークルの考古学研究会に所属。各地の遺跡を発掘したほか、古代寺院の保存運動にも携わった。

 考古学というと、大学では文学部に属する「文系」の学問。化学とは畑違いのような印象を受けるが、遺跡の発掘や文化財の取材をしていると「理系」の分野と重なることも多い。

 出土遺物の保存処理はまさしく化学分野であり、遺構から建物を推論するには建築学の知識が必要。最近では地震痕跡に注目する地震考古学も盛んだ。

 考古学は出土した遺構や遺物から立てた仮説を実証するため、新たな発掘調査を行う。こうした手法は化学分野における実験と同じといえる。

 もっとも吉野さんの入会動機は「できるだけ自分の専門から遠いことをやろう」だったらしい。さまざまな分野のことを知りたいという旺盛な知的好奇心といえるだろう。

 一つのことを極めることも大切だが、真理にたどり着くには広い視野と関心を持つことが必要。テレビで受賞を喜ぶ「二刀流」の吉野さんを見て、そう思った。(法)

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